「ICBM」とは?北朝鮮ミサイルの射程距離と弾頭種類を知ろう(中級者向け)

北朝鮮関連についてもっと知っておいて、ニュースや危機情報をすぐに理解できるようにしたいという中級者向けの記事です。


 

北朝鮮ミサイルの種類

私は大企業の防災担当ですが、北朝鮮案件については防災以外もよく聞かれます。代表的な質問としては「ICBMって何ですか?」です。私に聞くなよ・・・って感じですが、会社の中では私はかなり詳しい部類らしく、私が理解している範囲で回答・説明します。ぶっちゃけ、その人が知っても避難には何の関係もないのですが、知っておくことで安心に繋がるのだと思います。

家庭を守りたい人、会社の防衛・防災担当の人は、ニュースに騙されてもいけませんし、関係者からバカにされてもいけないですから基本用語くらいは理解しておきましょう。

まず前提として知っておかなければいけないのはICBMですね。

ICBMとは、InterContinental Ballistic Missileの略称です。インターコンチネンタルバリスティックミサイル。大陸間弾道ミサイルですね。近距離戦闘ではなく国を跨って長距離に発射されるミサイルのことをICBMと呼ぶわけです。北朝鮮自身は最大飛距離を1万km超えだといっています。アメリカまで飛ばせるということです。

このような英字4文字のミサイル・カテゴリーはアメリカの分類基準です。大まかにはこの4種類を覚えておけばよいでしょう。カッコ内は射程距離です

  • 短距離弾道ミサイル = SRBM(1000km未満)
  • 準中距離弾道ミサイル = MRBM(1000km~3000km)
  • 中距離弾道ミサイル = IRBM(3000km~5500km)
  • 大陸間弾道ミサイルICBM(5500キロ以上)

それぞれ、短距離はShort-Range、準中距離はMedium-Range、中距離はIntermediate-Rangeの略です。 末尾にBMがついて「XXBM」という4文字になります。

また、稀に「SLBM」という言葉も出てきますので、覚えておきましょう。

SLBMとは、Submarine-Launched Ballistic Missileの略称です。サブマリンローンチドバリスティックミサイル。潜水艦発射弾道ミサイルです。要するに潜水艦に搭載できるミサイルです。何が危険かというと、潜水艦に載せて移動できるというところです。射程距離が自在になるわけですからどこでも攻撃できる。これは怖い。しかし、搭載ミサイルの射程距離は約450kmと、ICBMに比べると短いのです。

2017年9月現時点では北朝鮮ICBMを主力として脅しをかけてきていますが、実はこういう武器も隠し持っているということを理解しておいてください。

北朝鮮ICBMの種類と射程距離

北朝鮮ICBMを複数種類持っています。それぞれ射程距離が違うものです。

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防衛省・自衛隊|平成28年版防衛白書|1 北朝鮮

北朝鮮は様々な種類のミサイルを保有しています。代表的なミサイルを箇条書きにすると下記のようになります。

  • 北極星1号」(KN-11)潜水艦発射弾道ミサイル
  • 「火星6号」(スカッド)短距離弾道ミサイル
  • 「火星7号」(ノドン)準中距離弾道ミサイル
  • 「火星10号」(ムスダン)中距離弾道ミサイル
  • 白頭山1号」(テポドン1号)中距離弾道ミサイル
  • 「銀河」シリーズ(テポドン2号)大陸間弾道ミサイル

一番有名なICBMであり、今、注目されているICBMが「テポドン」と呼ばれるものです。ノドンとかムスダンとか色々な用語があります。

2017年に発射された北朝鮮のミサイルは「火星12号」や「火星14号」等と呼ばれるもので、火星シリーズのバージョンアップ版だと言われています。しかし、テポドン等の愛称(?)はつけられていません。

名称・愛称は基本的に関係なく、チェックすべきは「射程距離」です。新しいミサイルが出て来たら、どのくらいの射程距離なのかを理解しておきましょう。

北朝鮮からのおよその距離は下記の通りです

  • 1,000km・・・日本
  • 5,000km・・・グアム
  • 7,000km・・・ハワイ
  • 11,000km・・・アメリカ(ワシントン)

火星シリーズの後半ナンバーズは射程距離がグアム以上だと言われています。即ち5,000km~11,000km辺りの飛距離がある、ということです。これは、日本はおろか、アメリカも射程範囲に入ってきます。なので、アメリカが危機感を感じ始めたということです。

「弾頭」は色々ある

ミサイルには「弾頭(だんとう)」と呼ばれる、実際に相手に当って被害をもたらすメインの素材があります。幾つも種類がありますが、大まかに分けると4種類です。

  1. 火薬(ノーマル)
  2. 毒ガス(化学薬品・細菌兵器)
  3. 核爆弾
  4. 水素爆弾(水爆)

火薬(ノーマル)

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普通に爆発するだけの火薬です。これだけでも非常に強力ですが、付加ダメージがないため、直撃した都市以外には大きな被害が波及しないと思われます。

毒ガス(化学薬品・細菌兵器)

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怖いのが化学薬品や細菌兵器がバラまかれるパターンです。都市周囲にも風に乗って強力な細菌が飛散すると、爆発した町以外でも死傷者が出る可能性があります。

核爆弾

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よく懸念されているが核爆弾です。着弾時の強烈な熱線で周囲が焼き尽くされることに加え、放射線を振りまくことで人体に長期に・広範囲にわたる悪影響を出します。核爆弾を搭載した弾頭を核弾頭といいます。

水素爆弾(水爆)

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一番恐ろしいのは水爆かもしれません。 水爆は「被害範囲が複数都市にわたる」ほど被害範囲が巨大だということです。核爆弾や普通の火薬だと「1つの町が消し飛ぶ」くらいですが(それも怖いですが)、水素爆弾だと「首都圏が消し飛ぶ/関西圏が消し飛ぶ」等と言うレベルの範囲になります。

過去記事

今回は以上です。しかし、北朝鮮防衛に興味ある人は過去記事も参考にして下さい。

www.psyberlife.com

実は今までも日本は北朝鮮の射程範囲だったということを書いています。

www.psyberlife.com

準備すべき防災グッズのオススメを書きました。

www.psyberlife.com

Jアラートが鳴ったときの避難場所について書きました。 

www.psyberlife.com

北朝鮮関係の情報源をリスト化しました。

では!