パワポ資料でプレゼンが上手くなるためのコツと、パワポ資料作成能力のレベル判定法(5段階)を紹介する。

あなたのレベルはどれ?

パワポ能力はコスパがいい

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採用や転職でよく聞かれるのが「ワードやエクセルはできますか?」というテッパン質問です。多くの人は適当に「私はワードができます」等と返しますが。本当に仕事ができると自信をもって言えますか?

ワードで資料作成、エクセルで計算式・・・「資料の作成」といっても様々なものがあります。エクセルに詳しくなろうとすると、経理部等に上手な人が多すぎて張り合えません。また、ワードはその会社のルールを学んでおけば事足ります。

一方で、営業やマーケティング、SE、商品開発など、職種に関わらず、意外とパワーポイント(パワポ)で資料を作成することが多いのが日本の組織です。(海外でも多いです)

そして、実は管理職クラスでも「パワポ資料の作成」についてはピンからキリまでいます。「あの人がいないとウチの会社はダメだ」などと言われるデキリーマンの40代オッサンでも、パワポ資料を作らせてみると「え・・・やだこの人データ詰め込み過ぎ!」と引いてしまうくらい低レベルな資料を作ってきたりします。

いい意味で、今まではパワポ能力が無くても出世できたということです。しかし、これからの時代、「魅せる」能力が重視されます。

要するにコスパが良いのです。

パワポ資料の強み

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パワポ資料はワードやエクセルと違って何が良いのでしょうか?プレゼンテーションで使う資料を社内用にアレンジしてるだけ、そう捉えている人は「まだまだ」です。

パワポ資料の特徴は課題抽出です。

  • 現状認識
  • 課題提案
  • 選択肢の比較

こういった要素を提示することによって、相手に考えを促す優秀なツールなのです。すなわち、パワポの本質は相手に意思決定をさせることなのです。

これは、自分のコミュニケーション能力に自信がない人にはむしろチャンスです。パワポ資料を見せることで「お、コイツは課題認識をシッカリしているな」等とプラス評価をもらえるからです。

パワポでの資料作成術は多々ありますが、まずは「自分はレベル高いのか?低いのか?」足元を知ってみることから始めてみませんか?レベルが高いならよし、低いなら弱点を補っていきましょう。

レベル判定の例題

「🌑🌑の資料作っといて?」こう言われたときに、パワポを自分なりに想像できるかどうかで自分のレベルが分かります。今回、例題を提示するので、ちょっと読んで、考えてから読み進んで下さい。

分かりやすいように5段階にレベル分けをしていますので、自分がどのへんだと思ったか自己判定してみて下さい。

まず、次の例題に対して、30秒、資料構成を考えてみて下さい。

<例題>

◆あなたはシステム会社「タイサシステムズ」の営業課長です。先ほど、部長に呼ばれてこういわれました。「取引先の山田商事さんにパワーポイントベースで資料を作成し、営業してきてほしい。ウチの財務経理システムを売り込みたい。山田商事さんは価格よりも給与計算能力を重視しているらしい。ライバルのA社やB社には負けないように。」

◆タイサシステムズの財務経理システムは、A社よりも価格は高いですが給与計算能力は高いです。また、B社は価格は高いですが、自社が対応していない新元号に対応しています。

◆最近は副業がOKになったり、仮想通貨が流行したりと、給与計算の式が複雑になっている背景があるため、山田商事は困っているらしい。相手先とは30分しか時間を取れなかったから、5~10分で説明できる資料を作らなければ。

いかがですか?だいたいイメージ出来た人も、できなかった人も、次に進んで自分のレベルをチェックしてみましょう。

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パワポレベル判定結果と勉強法

①新入社員レベル

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  • 全く何を作ればいいか分からない
  • 細かく指導されたとしても作れる気がしない
  • 図表の作り方もイメージできない
  • パワポのどのへんに文字を書けばいいか分からない

このように感じたら、あなたのパワポレベルは「新入社員レベル」です。

パワーポイントはおろか、ワードやエクセルでの資料作りもおぼつかないかもしれません。このままでは良くないため、レベルアップのために次の練習をしましょう。

何を伝えたいか考える

何を言わないといけないのでしょうか?今回の場合は「弊社の財務経理システムを買ってくれ」ですよね?そのために、「なぜなら」と理由が入ってくるはずです。まずは、この一言目が出るようにしましょう。

そんなことわかってる。構成が涌かないのです・・・そう思っている人もいるかもしれません。そういう人は堅苦しく考えすぎです。素人なのに、テクニカルに攻めようとするからいけないのです。まずはズバッと要望を書き記せば、最低ラインはクリアできるのです。勇気を持ちましょう。

②3年目レベル

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  • なんとなく数枚のスライドは書けると思う
  • でも「何枚」書けばいいのか悩む
  • リード文を書くと、これでいいのか?と不安になる
  • 上司にスライド枚数と、各スライドのメッセージを教えてもらえれば、プレゼンテーション資料を作れる

こんな風に感じたら、あなたのレベルは「3年目レベル」です。多分、このレベルの人が大半だと思います。

このままだと、書きたいことがごっちゃになってしまって、取引先に上手く伝わらないかもしれません。自分の思いを形にするために、次の練習をしましょう。

言いたいことを3行にまとめる

言いたいことをまとめるという作業は、実はかなり難しい作業です。今回の例題に対して3行まとめをすると下記になります。

  • 弊社の財務経理システムを買ってほしい
  • 他社に比べて性能では優秀だし、価格も手ごろ
  • 御社の給与計算ニーズにも合致している

そういったことを書けることができれば十分だと思います。そういった「3行言いたいこと」がパッと出てくるかどうかで、パワポ資料のレベルが分かります。2分デスクの前で考えて、出てくるようなら、次のレベル以上だということでしょう。

3行が書けると、ストーリーが描けるようになります。だいたい、このくらいのメッセージのパワポなら7枚くらいかなぁ・・・等とイメージができてきます。

③主任レベル

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  • 「10分の説明で」と言われたら「5~10枚かな」とパッと思い浮かぶ
  • 全てのスライドのリード文を書ける
  • プッシュはできるが、具体的な理由を突っ込まれると弱い
  • 経緯や背景まで気にしてないことが多い

上記に思いあたるフシを感じたら、あなたは「主任レベル」です。ちなみに、このレベルは結構高いレベルだと思います。年収1,000万円超えのサラリーマンでも、このレベルに到達していない人間はいます。

しかし、だからといって安心していいレベルでもありません。あなたの課題はこれです。

ロジックを考える

何とな~く「言いたいこと」はあるんだけど、何故?なんで?どうして?と問いつめられると、ウッと詰まってしまう。そういった場合は、あなたの頭の中でロジックを組み立てられていないことに原因があります。

偉そうに「論理的に考えられていない」だの「ロジックを組み立てられてない」などというと、とっつきにくそうに思えますが、選択肢の比較をしてみると、ロジックを詰めていくことができます。そうです、パワポはこういったロジックを明確化するために非常に使いやすいツールなのです。

  • 相手が取れる選択肢を数点提示する
  • 代替案を比較する(使いやすさ、価格、手間etc…)
  • 相手が選ぶべき理由を添える

この辺の情報を固めると、「プロコン」と呼ばれるスライドが1枚できます。プロコンとは「Pros and Cons」の略で、良い点と悪い点という意味です。

各選択肢の良い点と悪い点を明示した上で、「私のオススメはこれです!」と提示してあげること、これこそが良い提案の基本です。すっきりとした提案になった時、比較がしっかりしている、すなわち「ロジックがちゃんと組まれている」状態になっているはずです。

④一人前レベル

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  • ワードやテキストで骨子を書けと言ったら10分あれば書ける
  • プロコン(選択提案)スライドを作ることができる
  • データスライドを必須なのか補足なのか振り分けできる、アペンディックス(補足資料)に躊躇なくオトせる
  • ほぼ完璧な資料を作ったが、たまに反論に合うことがある

このレベルまでくると大したものです。ここかな?と思ったあなたは「一人前レベル」です。提案をせよ!と言われると、自分一人で考え抜くことができると思います。正に一人前。

しかし、そんなあなたも、たまに失敗することがあるかもしれません。ロジックは完璧なはずなのに、なぜ?課題が一つだけ残っています。

相手の反応をイメージする

一人前レベルの人にありがちなのが、相手に自分のロジックを押し付けてしまうという失敗です。自信があるからこそ、相手を見ない。しかしそれでは商談は上手くいきません。

相手を見ましょう、どんな感じですか?

  • こっちに興味を持っている状態(いけそうだ)
  • なんだか上の空だ(財務経理システムより重要な案件が降ってきたのかな)
  • 価格のところで嫌な顔をした(予算を削られたのかな)
  • 急いでそうだ(もうプロコンスライドだけ説明しておくか)

相手は、あなただけが仕事相手じゃないはずです。なので、相手の状態を見ながら、話す内容を変えなくてはいけません。時間がない、予算がない、部長が変わった。そんなときどうしましょうか?事前に対策を考えておきましょう。時間がないならこのスライドだけ喋る。予算のダウンサイドはここまで、これ以上は赤字。忙しそうなら来週にする等々・・・

プロフェッショナルは、どんなシチュエーションでも手持ちのスライドだけで乗り切ります。スライドが使えなければ口頭で交渉する。そこまでの意気込みでぶつかってみて下さい。

⑤玄人レベル

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  • 「1枚にまとめろ」と言われたらできる
  • 自分の資料を見せたとき、説明相手がどんなリアクションをとるか精度高く想像できる
  • 大多数へのプレゼンテーションと、印刷して上司に伺うときのパワポ資料を使い分けられる
  • 相手がダラダラとプレゼンしているとイライラする

あなたはもうプロフェッショナルです。「玄人レベル」です。むしろ教える側だと思います。トップエリートのマネージャーのクラスだと言って差し支えありません。私からお話しできることはほとんどありません。

ただ、淡々と若手を教えることを主業務にするのもいいことなのですが、こういった鍛え方もあります。いかがでしょうか。

相手のプレゼンをベースに議論する

論点を導き出す力とプロコンを一瞬で行う力を極めると、自分自身でプレゼン資料を作らなくても、議論を展開できるようになります。

  • 平時で考えすぎている、繁忙期にはそのプロコンは変わるはずではないかね
  • 商談先は今期赤字らしい、今回はあえて押さずに引くプレゼンでもいいのでは
  • 海外の情報がくみ取れてない、安心感を相手に与えた方がいい

色々な視点がありますが、部下や商談先の資料をベースに、議論が進められるようになれば、本当のプロフェッショナルだと思います。あとは訓練次第。

このレベルの人間が増えていけば、会社間の意思決定もスムーズになっていくはずなのですが・・・頑張りましょう!

最後に

いかがでしたか?転職してキャリアアップを目指す!なんて思っている人は、せめて1人前レベルになってから、他社に行けるように頑張りましょう。

もっとパワポ資料について磨きたい、という人は、下記書籍がオススメです。

社内プレゼンの資料作成術

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同著に「社外プレゼンの資料作成術」もありますが、こちらの方がベーシックで分かりやすいです。

ではでは!