【続】もう少し真面目にIT化・AI(人工知能)・IoT化・デジタル化・ビッグデータの企業活用を考えてみる

AI・IoT・ビッグデータ議論の続編です。


 

先日の、社長から「ウチもAI・IoT・ビッグデータを活用した戦略で事業拡大したい」とっ無茶ぶりされた時の対処法がメチャ読まれたので、今、世の中にAI・IoT化に悩む人が本当に多いのだなと痛感しました。

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クソみたいな社長の「IT化」無茶振りのなんと多いことよ・・・

前回は序論でしたが、今日はもう一歩踏み込んで概論を書きます。

どうやって会社とIT技術を連動させるか?考えましょう。

皆が頭の中でモヤーっと思ってる「IT化」を言語化してみる

AI(人工知能)活用やIoT化、ビッグデータからの価値創出という観点をひとくくりにして「IT化」と呼ぶのであれば、経済産業省のリアル・デジタルのサイクル図がすごく参考になります。

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AIやIoT等は独立して存在するのではなく互いに連動しながら価値を出すものなのだということを理解していただけたかと思います。

前回、目的を整理し仕組みを描け、とお話ししました。

最終的には「図示」できれば理想なのですが、まず一歩、踏み込んで、目的を整理するためには言語化するとよいでしょう。

自分に問うてみましょう。IT化の理想はどんな状態か?

言語化例

①工場や機械、商品等がIoT化されていて、移動情報や売上情報、稼働情報、写真等が自動でアップデートされてビッグデータになる

↓↓↓

②集まったビッグデータを半自動RPA(処理ロボット)が解析して、どんな状況になっているのか総括してもらう。

↓↓↓

③更にAIが情報を整理し、次にどんなアクションを起こせば最高の結果が得られるのか「提案」してくれる。

こんなところでしょうか。

この文章をより現実に近づけるために何をすれば良いのでしょうか。

(皆さんも自分でやってみて下さい)

何をIT化すればいいの?」に回答できればいいわけです。

次にやらないといけないことは、構造化です。

言い換えると、今のビジネスモデルを改善する、もしくは全く新しいビジネスモデルを構築するために、ビジネスを構造化(見える化)するということです。

まずは「社内調査」せよ!!

経営企画やマーケティング部の人間がこういった改革メンバーになることが多いと思いますが、まず独力での可視化はムチャです。

だって、自社の情報システムについて語れますか?

語れないでしょ?

分からないなら独りで考えても無駄です。

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しかし、悲観することはありません。

この時代、既に情報が自動化されているケースが多く見受けられます。そう、情報システム部という専属の部署が大手企業にはあるはずです。

経営企画部やマーケティング部がフワフワと現実味のない議論をしているとき、情報システム部はシコシコとベンダー企業と一緒にソフトを作って情報吸い上げをやってたりします。

まずは社内にどんな情報があって、どういう流れになっているか情報システム部に訊くことです。会いに行きましょう。じっくり議論してみて、それでも分からない、業務フローに近い細かいところは、営業マンや工場主任に聞きましょう。

ヒアリングに行くときに注意すべきは、自分で自社のバリューチェーンのマップをざっくり作っておくことです。

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図:エプソンの採用HPから

まずはこんなので構いません。

次に下記のイメージを持っておきましょう。モノと情報の流れです。

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バリューチェーンの右端の「営業マン」と「お客様」の関係の間を詳しく書いただけですね。

「モノの流れ」がある一方で、逆方向に「情報の流れ」が走っているはずです。これを理解してください。

情報は個別具体的に存在しています。どんな情報があるのかなぁ、とイメージしておくことが大切です。

こういう図を頭に描いた後で情報システム部に会いに行きます。

会って質問することは「社内DB(データベース)の全体マップってあります?」ですね。

あればラッキー、なければ「ざっくりでいいので作って下さい」とお願いしましょう。

イメージはこんな図ですが、エクセルでもワードでも構いません。

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(※本当の大企業のシステムマップはもっとメッシュが細かくて広範囲です)

パッと見、製造DBに情報が集中していますね。

  • 情報が集まっている中心はどこなんだろう
  • 各DBは何の情報を蓄積しているのだろう

 

ということを考えて下さい。この図に、どんなデータがあるのか言葉を付け足していくと理解度が増します。

更に、営業マンや工場の人、経理の人等と話をして、「どこが課題なのか」「ボトルネックはどこか」聞いて回ると、リアルとデジタル空間が繋がりやすくなります。

「営業日報を細かく打つので1日の半分かかるんだよな」

「機械を接続する判定がむつかしくて」

「経理としてはいつ出荷されたか瞬時に分かればありがたいんだけど」

そんな色々なニーズが出てくるはずです。これをまとめあげ、かかっている本当の時間的・人的・金銭的ボトルネックはどこか判定しておくとより具体性が出てきます。

一朝一夕ではできないので、少しずつ理解していきましょう。

そうすると方向性が出てきます。

  • 気づきにくい社内情報を可視化したい⇒IoT
  • 煩雑な作業を自動化したい⇒RPA
  • 将来予測や判断をしたい⇒AI

あなたは何をしたいですか?

ビッグデータ・IoTは何の情報を取るか考えろ

「なんだか営業日報を一瞬で送れるようになれば、ビッグデータにも繋がるし、IoT化で解決できそうだし良さそうだな」そう思ったら進めましょう。

何のデータを取るのか?

  • 日程
  • 売上高
  • 担当者
  • 相手
  • 場所情報

こんなデータを一瞬で取って本社に送る、そして蓄積するというのであれば、そういう要件を書き出してください。

そして、また情報システム部と相談です。「こんなことしたいんだけど・・・」そうすると回答があるはずです。

「自社でやると高いから、他社が販売しているクラウドサービスを流用しよう」等と言う話が出てきたりするはずです。

RPA(ロボット自動化)は何を自動化するか考えろ

「もうちょっと原材料調達作業を自動化したくて・・・」そんなニーズが出てきたとします。

まずやるのが、今のマニュアルの見直しと手順化です。

  • 営業DBをみて必要量を把握
  • 製造DBを見て在庫を把握
  • 物流システムをみて保管庫の空きを把握
  • 発注書の作成
  • 上司のハンコをもらう
  • 原材料メーカーに発注

これで言えば、発注書の作成までは自動化できるはずです。RPA(ロボット)を使ってDBを1日1回チェックさせて、必要な発注書を印刷するところまで自動化できるはずです。

それによって調達社員が半分に減らせるのであれば、その分を営業に回すことで売上アップです。

AI はアルゴリズムを考えろ

次にAI(人工知能)です。これはむつかしい。

多くの人は「AIは情報をぶち込めば結果が出てくる」という誤解を持っています。

正しくは、情報とアルゴリズムをぶち込めば結果が出てくるのがAIです。アルゴリズム。すなわち「どう情報を読み解けばいいか」を示さないといけないのです。

二つの数字があったとき「100+100」なのか「100×100」なのかで結果が変わってきます。

市場の将来予測をやりたい、そのためにコホート分析を使いたい、そのために年齢情報、世代情報、POS情報と自社の商品売上構成を読み込ませて将来予測をはじき出させたい。

などという形で、「設計」を行わないといけません。これは大変です。ようやく、この時点でコンサルタント等が活躍する場面になるわけです。

どういった数式を用いれば、需要予測ができるのか?判断する時に、社内の何の情報があればいいのか?そして、社内の情報だけでよいのか?

正解はありません。どのアルゴリズムを使うかすらも人間が決めるのです。

前回言いましたが、仮説を決めるのは人間です。あなたが決めましょう。

そして今回は、仮説を考えるのも楽ではなさそうだなということが分かったと思います。イメージついてきましたでしょうか?

最後に

あらあら見えてきたと思います。

本当は次に「全体としてどうあるべきか」を議論すべきなのです。

そうすると、最初に言語化した「仕組み」がどこまでリアリティのあるものなのか、どこまでなら達成できそうなのか、を話しして最終的にどうなりたいかを決めることができます。

あと、忘れてはいけないのがIT化ってメチャ金かかります。メンテナンス費用で1ヶ月数百万~数千万円飛ぶこともザラです。

それでもやる価値ありますか?

そこを社長と議論しましょう。

今日はこの辺で!

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