社長から「ウチもAI・IoT・ビッグデータを活用した戦略で事業拡大したい」と無茶振りされた時の対処法

今日はAI・IoTブームについて。


 

社員を不幸にするAI・IoT

今、大企業の多くの経営企画・マーケティング部の社員を悩ませている言葉があります。

AIやIoTを活用してウチも事業成長じゃ!

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そんなトップダウンの号令です。

電機メーカーでもないかぎり、なかなかデモなんてできません。デバイスを作る技術もソフトウェアを開発する技術もないのですから。

しかし、トップダウンの勅命ですから、無下にすることはできません。

相手はパソコンの「パ」の字も分からないオジイチャン経営者達。

よく分からないゆえに焦りだけが加速していきます。

ほっておくと変なコンサルにお金をかけてマネー垂れ流しになってしまいます。

勝手に変なバイスメーカーと契約してきちゃったりします。

顧問に促されるままクソみたいなビッグデータ(笑)を買ってきたりします。

最もやってはいけないのが、トップの言うことを真に受けることです。

競合他社がビッグデータを買ったらしい!ウチも買うんだ!などという指令を受けてそのまんま買っても、その後の使い方が全く分からず頓挫することになります。

当たり前です。目的なく買っているのですから。

そして、責任は買った社員が被ることになります。「だって社長が言ったじゃないスか!?」そんな言い訳は通用しません。買ったのはあなたです。そう、本当に恐ろしい縦社会です。

こういうAI・IoTに関するあやふやなトップダウン指令は社員を不幸にします。

しかし、本社の頭脳である経営企画部やマーケティング部が、そんな経営陣の妄言に惑われてはいけません。何とかしてトップの世迷い事を断ち切り、健全な事業戦略に舵を切りましょう。

まずは基本用語の統一から

皆かイメージしている用語がバラバラのままバベってる状況は好ましくありません。まずは用語を改めましょう。

AI

人工知能(じんこうちのう、英: artificial intelligence、AI)とは、人工的にコンピュータ上などで人間と同様の知能を実現させようという試み・技術のこと。

IoT

IoT(Internet of Things)とは、つまり「モノのインターネット」の略で、家電、住宅、道路、建築物、衣服、農工業機器などあらゆる物体にセンサーが付随しインターネットと繋がって連携を行うこと。

ビッグデータ

市販されているデータベース管理ツールや従来のデータ処理アプリケーションで処理することが困難なほど巨大で複雑なデータ集合のこと。

上記はWikipedia等からのコピペですが、とにかく平易に記載することが重要です。

分からなければカッコつけても意味がありません。あなたなりの言葉でかみ砕いてワーディングしてください。その会社に合うワーディングはその会社の人しかできません。

仮説は人間のお仕事

用語の次に覚えておくこと。

夢見がちな経営者の頭のなかには、データさえ集めればビジネスが変わるという幻想があります。

すなわち、仮説立ても含めてすべてパソコンがやってくれるのではないかという妄想です。そんなわけありません。

データだけ集めたければポケモンGOでもやらせておきましょう。

パソコンの電源を押したら、グワーッっと色々分析されて、ビシビシっと計画案が出てきて、それをサラッと実行すると、バーンイノベーションが起こる。そして金が入りまくる、社長がモテる、有名になる。ウッハウハ。

・・・そんな妄想がオジイチャン経営者には蔓延しています。これをまずぶった斬るのがあなたの役目です。

パソコンは仮説を立てられません。

仮説を立てるのは人間のお仕事です。これを忘れてはいけません。

もし、今後、AIが仮説を建てられるようになったとしても、社長がモテることはありません。だって社長なにもしてないから。

さて、一通り妄想が収まった後、次に経営者や社員がドツボにはまりがちなのが「用語オタク化」です。

  • このAIってさ、結局回帰分析だよね。
  • 包装紙をIoTしちゃえば?
  • とにかくデモグラデータ集めっしょ
  • データ買って来ればいいんじゃん?

なんだかカッコいいですが、これでは全く前に進みません。

次に進めるのは仮説立てです。

何をどう変えたいのか?と言い換えてもいいかもしれません。

フレームワークとしては経済産業省のリアル/デジタル空間のモデルが分かりやすいです。

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2016年3月の経済産業省のレポートによると、上記のようになっています。情報は、リアルとデジタル空間でサイクルになっています。

それのどこかに「AI」「IoT」「ビッグデータ」、そして「ロボット」が当てはまるという図式です。

むむ!

ロボット?

よく聞く言葉ですが、理解していますか?

RPAと言った方がいいかもしれません。

※RPAの方が馴染み薄いかもしれませんが、要チェック用語です。

RPA

「RPA(Robotic Process Automation)」とは、ロボットによる業務自動化の取り組みを表す言葉です。「デジタルレイバー(Digital Labor)」や「仮想知的労働者」とも言い換えられ、主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務の代行を担います。

要するに簡易業務の代替です。エクセルの数万行コピペや計算式の代入等、単純だけど間違えちゃいけない業務を代行してくれます。何でもやってくれそうなAIより、よっぽど現実味がありますし、実際にすでに活躍しています。

目的作りのコツ

仮説を立てるのがお仕事だということはわかりました。

AI的なワールドにもサイクルがあることもわかりました。

ここまでの用語が1語でも初めてだった方は、とにかく情報を集めましょう。本をよみましょう。

まずは経済産業省のHPは必見です。

http://www.meti.go.jp/main/60sec/index_ai_iot.html

基礎知識として数冊は本を叩きこみましょう。

AI(人工知能)まるわかり (日経文庫)

AI(人工知能)まるわかり (日経文庫)

この本は最近出た本で、比較的情報の鮮度が高く、また持ち運びやすい新書なので電車の中でも読めておすすめです。

こちらはメーカー会社であればかなり使える本です。IoTをどう導入するのかが分かりやすく詳説されています。

こちらはビッグデータフレームワークが書かれていますが、他のビッグデータ本は「ビッグデータすげぇ!」としかかかれていないのを、どうやって情報を取るかに絞って書かれているので一読の価値ありです。

RPA革命の衝撃

RPA革命の衝撃

RPA/ロボット化について書かれています。特にどんな業務をどのように代替できるのか事例が書かれているので、会社に1冊あれば便利です。

情報が集まったら、どういった将来にしたいか、目標を立てましょう。

自分でビジネスモデルの図式を書くのです。

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すごーく、ざっくりですが、メーカーの場合、いままでの製造⇒販売というスタイルから、どこかにAI(判断自動化)、RPA(作業自動化)をかますことで速度やボリュームを増大するという方向性が考えられます。

また、そのためにお客様や業務の中にIoT(情報取得装置)を付けて、更に取得したビッグデータをAIで解析する、等と言う仕組みが必要になります。

そう、仕組みを提案するのがあなたの役目です。

考えていくと、色々なことにぶち当たると思います。

「そもそもAIやRPA導入してもコストが上がるだけで利益に全く貢献しない」や「ビッグデータを得てそれを解析したとしても、商品開発に結びつけられる社員がいない」等です。

ようやく、そういった問題が分かってきたら、最低限の情報整理ができてきたということです。

本当は、オプションを考えたうえで、「AIは不要、経理作業をRPA化するだけの方がわが社にはメリットがある」「製造機器のIoT化は不要、他社からデータを買って判断するだけでよい」などという所までブラッシュアップできれば素晴らしいです。

実は、大体のメーカーが思っているようなマーケティング・ニーズの分析においては、ビッグデータ等と言う膨大な量の情報は不要で、スモール・データ的なちょっとしたデータセットがあれば事足ります。

会社によってAI・IoT化は幾通りもプランがあると思いますが、頑張ってください!

最後に裏技を教えます。

経営者はRPAの動画を見せて、ロボットが半自動で処理をしている画像を見せて「これがAIですよ、社長、大幅に利益が出せますよ」という(用語としては間違っている)ハッタリをかましまくった方が、「おお、なんだこれは、すごいじゃないか!」などと喜んで決裁書にハンコをついてくれます。意外とちょろいです。

あと、「違う!そうじゃない!俺が言いたいのはもっと、まーったく違う新規事業を確立してバーン!とイノベーションを起こすことなんだ!それをやってほしいんだよ君ぃ!」という社長様がいらっしゃるかもしれませんが、地道に事業を精緻化できないヤツにイノベーションは引き起こせません。

そういう方には「スティーブ・ジョブズやトラビス・カラニックも、ゴリッゴリにビジネスモデルを精緻化したからイノベーション起こせてるんですよ。え、トラビスを知らない?それじゃIoTとかマジ無理ですねぇ・・・」とでも言ってあげましょう。

以上。

多分、この業界、だましたもん勝ちです(汗)

でも事業は地道にやりましょう。

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