今日は用語の整理。
最近、ITトレンド用語が氾濫していますが、個人的に一番わかりにくい単語は「BI」だと思います。
BI(びーあい)
さて、AI(えーあい)とは何が違うのでしょうか!?今回はAIと比較しながらBIを勉強していきましょう。
AIとBIの違い
AIとは、アーティフィシャルインテリジェンス(Artificial Intelligence)の略称で、人工知能のことです。BIはビジネスインテリジェンス(Business Intelligence)の略称です。
BIとは、企業が蓄積したデータを分析することで、経営やマーケティング等、ビジネスの意思決定に役立てようというツールを指します。2000年代半ばに小さなブームとなったのですが、当時はビッグデータ的なものも無く、また何のためにデータを分析するのかという目的意識も欠如していたため、「よく分からんけどなんかオシャレなバズワード」というくらいの認識で終わりました。
しかし、また2010年以降のビッグデータ・ブームに乗じて機運が高まってきたのがこのBIです。BIを使いやすいようにソフトウェア化して販売しているものを「BIツール」と呼んだりしています。
結論から話すと、BIは人間の知能の”サポーター”として使うITツールです。
膨大なデータの中から、人間が意思決定するために役立つパターンや特徴を見つけいやすいように表にしたり、グラフ化したりする機能、要するに分析ツールがBIです。そして、そのなかから人間がビジネスの特徴を見つけ出し、推論して仮説を立て、事業の方向性を判断するという業務を行うわけです。生産性を高めることがBIの目的です。
ここまで読むと分かると思いますが、対するAIはこの「特徴発見・推論・仮説」という作業までコンピューターにやらせるというところに違いがあります。
ビッグデータという言葉に象徴される通り、2010年代以降、情報の種類や量が膨大になったため、人間の能力だけではそのデータの中身を全て読むことが困難になってきたということが背景にあります。特徴を発見し、推論・仮説を出して人間に選択肢を報告する。その選択肢の中から人間が「判断」する。という形です。すなわち、AIは人間の”アドバイザー”として期待されているITツールなのです。また、より強い学習能力をAIに付加させるため、脳科学の知見を取り入れた「ディープラーニング」という手法が登場しています。AIとは、人間の知的能力を拡張することが目的なわけです。
AIとBIの違いを図示すると下記になります。(主にビジネスの意思決定の流れで説明しています)
「 AIの方がスゲーんじゃん!」そう思われる方もいらっしゃる方も多いかもしれませんが、AIの矢印は理想で書いています。実際はBIに毛が生えた程度のレベルのものが多いのが現状です。また、分析ツールとしてはBIツールの方が人間に使いやすいケースが多いというのが現状でしょうか。
※ディープラーニングを知りたい方は過去記事へ!
具体的なイメージ
IT系初学者の場合、文字情報だけではAI・BIの違いをイメージすることはできないと思います。そこで下の図を見て下さい。
AIのイメージってこんな感じだと理解できたかと思います。コンピュータが情報収集して、いい感じで分析して、最終判断だけ人間がやる。そんな感じ。
BIのイメージってこんな感じです。人間だけだと残業しても追いつかないような情報量を、パソコンが自動で分析してくれるため、人間は推論・仮説・判断をするだけで仕事が進むというイメージです。
イメージついてきたでしょうか?
BIツールの事例
具体的なイメージはできてきたけど、BIツールって世の中にどんなものがあるの?という疑問に回答するために、有名どころのBIツールを記載します。世界でも日本でも有名なトップ3社を紹介します。この3つを覚えておけば会話で困ることはないはずです。「タブロー」「パワーBI」「クリックビュー」の3つです。
Tableau(タブロー)
2003年に設立されたアメリカのタブローソフトウェア社が発売している製品です。もちろん日本販売会社もあります。
タブローはざっくりいうと、一番有名で、BIの用語イメージに一番近いBIツールです。様々なデータベースから情報を集めてきて、データを統合し、ビジュアライズしてくれます。グラフにしたりプレゼン資料をサクっと作ってくれるわけです。使いやすいため特にマーケティング等にも用いられています。
どスタンダードなグラフは片手間で。
散布図なんてのもすぐ。条件コロコロ変えながらプレゼンしましょう。
地図化なんてのもすぐできます。
Power BI(パワービーアイ)
Windowsで超有名なMicrosoftが作っているBIツールです。
このBIツールの一番の強みはExcelとの連携がバッチリというところでしょう。エクセル表で個人が作ったデータからビジュアルを作ることも簡単にできます。カンタンに導入できてカンタンにグラフが作れるというところが一番優位性のあるポイントです。UI(使うときの感覚)がエクセルやワード等と共通しているため何だかわかりやすい!
意外とオシャレな画面。
右側のチェックボックスでグリグリ表示項目を変更できます。
やろうと思えばモバイルとの連携もできます。パソコンで作ってスマホで見せる!
QlikView(クリックビュー)
2007年に設立された、アメリカの会社です。こう考えてみるとBIツールのトップ3社は全てアメリカなのですね。読み方はクイックビューではなくクリックビューです。タブローもそうですがなんで読みにくいのか・・・簡易版はQlikSense(クリックセンス)等と言う形で別ソフトウェアとして販売されています。BIツールの大手企業です。
クリックビューの一番いいところは「ダッシュボード機能」です。一番最初の画面にパッと全体の表を映し出してくれます。
分析画面では、バーをグリグリするだけで条件変更可能。
一番のウリとしているのは「とにかくデータだけぶっこめばクリックビューが分析してポイものをアウトプットします」と言ってるところです。非常に心強い。
最後に
下の「ガイトナー社のBIツール比較グラフ」を見ると分かりますが、他にも沢山BIツールはありますし、 BIの定義も様々です。今回はインメモリだとかDWH、ETL機能等、もう一歩踏み込んだ用語は省いており、初心者でもわかりやすく!を基本方針にしました。「もっとマニアックな用語も書けや!」と言われれば書くかもしれませんが・・・
上記を見てもトップ3社が分かると思います。
AIを色々勉強するのも非常に有用ですが、2010年代はまだまだBIツールの時代だと思います。なので「いかにBIツールを使いこなして生産性を上げるか」をIT経営課題とすることがフィットする会社が多いのではないでしょうか?
自分の会社のIT課題についても方向性を考えてみることをオススメします。未成熟なAIに全ての経営判断を任せるなどという愚行に陥らぬよう。
では!