【初心者向け】今さら聞けない電子たばこ(加熱式たばこ)の基礎知識(メーカー・ブランド)

電子たばこに詳しくなりたい人へ。


 

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「電子たばこ」とは

電子たばこの定義

電子たばこは英語でe-cigarette(イーシガレット)、略してe-cig(イーシグ)等と呼ばれています。乾燥したタバコ葉や、ニコチン入りのリキッドを加熱することによって、成分を霧状にして吸引するタイプのタバコが「電子たばこ」と呼ばれています。※ブランド比較のところで厳密な定義をしていますので読んでみて下さい。

ちなみに電子たばこのニコチン霧の吸引は「VAPE(ベイプ)」と呼ばれます。

また、いわゆる普通のたばこは「紙巻たばこ」「cigarette(シガレット)」等と呼ばれており、e-cig(電子たばこ)とは完全に区分されています。象徴的な表現として、紙巻たばこを吸うことはご存知の通り英語で「Smoke(スモーク)」と言いますが、電子たばこを吸うことは英語で「VAPE(ベイプ)」と言います。煙を吸うことと、蒸気を吸うことは違う!ということです。

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◆シガレットと電子たばこの比較図(出典:JT website)

電子たばこの外観

電子たばこは「カプセル」「カートリッジ」「バッテリー」と呼ばれる3つのパーツで構成されています。また、特に電子機器であるカートリッジとバッテリーを併せて「デバイスと呼ばれます。

また、これは販売会社によって全く設計が異なっています。3パーツを別売りするところもあれば、デバイスを1パッケージにして販売する会社等もあります。ともあれ、共通しているところはスターターキットとしてデバイス+カプセルを販売し、その後、追加カプセルを購入するというプリンターとインクの関係に近い販売方式を採用しているところです。

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◆電子たばこの概要図(出典:JT website)

電子たばこの歴史

実は、電子たばこは1965年頃にハーバート・A・ギルバートによって開発、特許取得されましたが、その当時では本格的な商用化はされませんでした(第一世代の電子たばこ)。更に近年になり、2003年に中国で「第二世代の電子たばこ」実用化されましたが、その時もあまり売れませんでした。しかし、そこから小さなブランドが沢山立ち上がり、2016年には一大市場に成長してきた(第三世代の電子たばこ)という歴史があります。2017年現在は第三世代の電子たばこが競い合っている戦国時代、というわけです。

なぜ、2000年代まで電子たばこは売れなかったのでしょうか?第二世代までの電子たばこがあまり売れなかった理由としては、昔はバッテリーの能力が不十分だったということが主要因として挙げられます。蒸気化するというアクションはバッテリーの電池容量をメチャクチャ食います。携帯しながらタバコを吸おうにも数回分しか電池が持たなかったのではないでしょうか。しかし、2010年代以降はバッテリーのコンパクト化・大容量化が進んだことから、電子たばこが「持ち運びやすい」「すぐ吸える」「長持ちしてコスパが良い」等というお客さまのニーズに耐えられるようになってきたため、電子たばこの激戦が始まったのではないかと考えられます。

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◆第二世代の電子たばこ(出典:Wikipedia) 

電子たばこ市場

縮小する「紙巻たばこ」市場

紙巻たばこの市場はどんどん縮小しています。

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◆紙巻たばこの販売数量の変化(元データ:一般社団法人日本たばこ協会

販売数量を見ると、どんどん落ちて行っています。これはどんどんと紙巻たばこに対する税金が上がっていっていることに加え、嫌煙ブームが非常に強くなってきていること等が挙げられます。特に「副流煙」が出て回りに臭いが拡散してしまう紙巻たばこは非喫煙者にとってはネガティブな要素が大きいということでしょうか。

急拡大する「電子たばこ」市場

一方で、紙巻たばことは対照的にグングン市場を伸ばしているのが電子たばこです。

イギリスのユーロモニター・インターナショナル社の試算によると、電子たばこの2014年現在の市場は約70億ドル(約7,700億円)ですが、2030年には約510億ドル(約5兆6,600億円)にまで市場が拡大するのではないかと言われています。それほど、人気市場なのです。

ちなみに5兆円市場というとイオンの売上高と同等です。それでいうと、世界市場で考えるともっと伸びる可能性もあるのではないでしょうか。

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◆電子たばこの市場規模(出典:ユーロモニター)

電子たばこが急拡大する理由

電子たばこが急拡大する理由は、健康リスクの低減の可能性や、法制限がかけられていないため、コストパフォーマンスが良く、色々な楽しみ方ができるといったことが挙げられます。

科学的な検証はまだ進んでいる最中ですが、電子たばこの”蒸気”には、紙巻たばこの”煙”と違ってタールがほとんど含まれていないと言われています(ゼロではないようです)。ご存知の通り、タールは数百種類の発ガン性物質の塊であり、摂取し続けているとガンになるリスクが高まると言われています。なので、電子たばこは紙巻たばこよりも健康リスクは低いと言われています。

また、紙巻たばこは「税制」と「表現」の2つの観点から法制限がかけられています。法律の縛りは国によって違いますが、例えば、日本だとほぼ商品価格の半分が国に取られる設計になっています。要するにお客様にとっては非常に高いものを買わされているということです。また、表現面でもCMを制限されたり、パッケージデザインも制限されるなど、色々制限がかけられていますが、電子たばこはデバイスの形状や色等、無限大の可能性があります。

必ず知っておくべき有名ブランド

日本の有名3大ブランド

日本で展開している大手たばこメーカーが作っているブランド、「iQOS」「Ploom TECH」「glo」の3つは覚えておきましょう。

iQOS(アイコス)/メーカー:PMJ

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現在、日本の電子たばこ市場の筆頭を走っているのがフィリップモリスジャパン(PMJ)です。フィリップモリスやPM(ピーエム)等と呼ばれることが多いですが、ここはフィリップモリスインターナショナル(PMI)として、紙巻たばことしても世界ナンバーワンの会社です。

iQOS(アイコス)は、「加熱式たばこ」と銘打って、短い紙巻たばこにデバイスを当て込んで加熱する方式をとっています。非常にマーケティングが上手く、2014年に「火を使わないタバコ」として小規模に電子たばこをマーケティングしてみて、いける、と判断して2016年から本格的に販売を開始しています。実質的に日本における電子たばこの先駆者となっています。

Ploom TECH(プルームテック)/メーカー:JT

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日本の唯一のタバコメーカーであるJT日本たばこ産業、ジェイティ)も、電子たばこ市場に参戦しています。紙巻たばこでいうと世界4位の会社です。(2017年時点)

ploom TECH(プルームテック)は、iQOSと全く違うVAPEの楽しみ方をします。たばこの葉から作られたカプセルリキッドを当て込んで、リキッドを蒸気化するという方法をとっています。リキッドにも色々な種類を作っています。技術力は非常に高いがマーケティングは下手なのか、iQOSに先手を打たれています。しかし、健康面や商品の広がりという意味で、特に日本市場においては後からPloom  TECHが巻き返しを図るのではと言われています。

glo(グロー)/メーカー:BATJ

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世界でナンバー2の紙巻たばこメーカーであるBAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)の日本子会社がBATJ(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン)となります。

日本で電子たばこが売れそうだと見るや否や、速攻で「第3の加熱式たばこ」と銘打って日本市場に攻めてきたのがこのBATです。iQOSとPloom TECHとの違いは、カートリッジとバッテリーが一体化しているというところです。一体化しているので使いやすい、バラバラになりにくいとユーザビリティを重視しています。弱点としては、カプセルや短い葉タバコではなく、長いタバコスティックを差し込む形式になっているところでしょうか。

【おまけ】厳密な電子たばこの定義

さて、最期にどんでん返しですが、上で説明した有名3社のブランドについて、実は、厳密に言うと電子たばこではありません。最初に電子たばこの定義を「乾燥したタバコ葉や、ニコチン入りのリキッドを加熱することによって、成分を霧状にして吸引するタイプのタバコ」と言いましたが、これは広義の電子たばこの定義であり、厳密にはもう少し定義が細かいのです。JT日本たばこ産業)が打ち出している定義は下記の通りです。

  • 本当の電子たばこはカプセルにたばこ葉を全く使わないものという定義である(=狭義の電子たばこ)
  • PloomTECH等は、カプセルにたばこ葉を使用し、加熱した時の蒸気でたばこを楽しむものは、狭義の電子たばこと区別して「加熱式たばこ」と呼ぶ

その定義で言うと下記のようなブランドマップになります。

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◆ブランドマップ(自作)

要するに、本当の意味での電子たばこは「たばこ葉を使ってなくて化学リキッドのみで構成されているもの」というのが厳密な定義のようです。この定義でいうと、公式に日本で販売されている電子たばこはありません。まぁ、ユーザーからすると見た目はほとんど変わらないので、一般的にはiQOSやPloom TECH等も「電子たばこだ」という表現をしている人がほとんどです。気にする必要はあまりありません・・・

いかがでしたか、ちょっとだけ電子たばこに詳しくなったと思います。

JPvaper等の「狭義の電子たばこ」については別記事でまとめようかと思います。

ではでは!