スロースリップは「地震の前兆」だと言われています。
スロースリップとは
スロースリップとは、普通の地震よりかなり遅い速度で発生する「ゆっくりしたプレートの滑り現象」のことです。
ただ、これだけ聞いても、よくわからないと思います。
まずは「プレート」知ろう
地震のことを調べた人なら「プレート」という言葉を聞いたことがあると思います。
プレートとは、地球の表面を覆う厚さ100kmほどの岩盤のことです。
プレートには、大陸プレートと海洋プレートがあり、大陸プレートよりも海洋プレートの方が強固で密度が高いため、2つがぶつかる領域では海洋プレートは大陸プレートの下に沈んでいっています。
※参照:地震調査研究本部
このプレートが沈む際に、プレートの一部が「バキッ」と割れ、断層ができる現象のことを「地震」と言います。
プレートとプレートの境目にある地域が「地震の多い地域」だと言われています。
※参考:Wikipedia(プレート)
地球上のプレート図を見ると分かりますが、日本はメチャ多くのプレートの境目にあります(赤いマルがついているところ)、だから地震が多いのです。
プレートの境界面がポイント
さて、スロースリップは「プレートのゆっくりした滑り」と言いましたが、もう少し詳しく見ていきましょう。
プレートとプレートが沈み込んでいる部分は、図解すると下記のようになっています。
この図でいう赤色と黄色の部分が、プレート同士がぶつかっているところ、「接合面」です。
この接合面には負荷がかかっています。常にミシミシ言ってるわけです。しかし、全ての接合面に同じように負荷がかかっているわけではありません。
接合面には、負荷がかかってる領域と、負荷がかかってない領域があるということです。これがポイントです。
この負荷のかかり具合によって、3種類に分類されています。
まず、負荷がかかっているところを赤色の「固着域」と呼んでいます。
次に、そこまで負荷がかかってないところを黄色の「遷移領域」または「スロースリップ域」と読んでいます。
最後に、ほぼ負荷がゼロでツルツルしているところを青色の「安定すべり域」と言います。
- 固着域
- スロースリップ域
- 安定すべり域
この3つがあるということです。
大地震の前兆になる可能性あり
この黄色の部分で、2種類の地震が起こることがあります。
サイレント地震とスロー地震です。
地震によるすべりを伴わないスロースリップをサイレント地震といいます。
一方、地震によるすべりを伴うスロースリップをスロー地震と言います。
ただ、これらの用語の使い分けは研究者の間でも正確に定義されていません。
これらスロースリップは、2018年に、中央防災会議が南海トラフ地震のトリガーになる可能性があることを示唆しました。
詳細は過去記事に書いているため、参考にして下さい。
観測方法は?
正直、素人では測定できません。
スロー地震が内陸で発生した場合は、体感することができます。なのでこまめに気象庁のHPでも見ていれば分かります。
しかし、サイレント地震が有感地震ではないため、素人が観測することができません。ひずみ計、傾斜計、GNSS観測等、特殊な計測技術を持つところでないと厳しいというのが現状です。
防災科学技術研究所等であれば計測できます。また、そういった専門家がアヤシイ揺れを検知した場合、国に報告が入る仕組みになっているため、避難指示等のニュースが出たら、それを信じて避難するようにしましょう。
コメントを残す