確定拠出年金は「損益金額」を見ましょう。
確定拠出年金は分かりにくい
確定拠出年金について過去に記事化しました。
何ヶ月か運用(というほどでもないのですが)してみて分かったのが、分かりにくいということです。
何が分かりにくいか?
管理画面が。
上記は1例ですが、どの会社の管理画面も似たり寄ったりです。なんか円グラフがあって「ぽい」ですが、分かりにくいです。素人に理解させようという気が1ミリも無いように思えます。
正確には、画面というより用語が分かりにくいと思います。用語を解説する気がゼロ。
チェックすべき用語はコレ
用語が分からないなら、自分で用語を整理しましょう。どの会社の確定拠出の管理画面も、3つの数値は最低限入っていると思います。これだけ理解すればOK。
①拠出額
自分が確定拠出年金に「今までいくら投資した」か、合計金額が書かれているはずです。個別の銘柄に対する拠出金が記載されている場合もありますが、「拠出金額累計」を見ましょう。
②評価額
各銘柄を運用してきた中で、どのくらい「銘柄の評価が変わったか」が記載されています。ここでは「総資産評価額」といった数値を見ましょう。アップダウンを繰り返した中、最終的な全体の評価額です。引き落とす場合はこの価格が基準になります。
③評価損益
一番重要です。今まで運用してきて「自分がどのくらい儲けたか?」を示す数値です。「評価損益合計」を見ましょう。「③評価損益合計=②総資産評価額-①拠出金額累計」で計算できます。簡単です。
「利回り」が分かりにくい
一番分かりにくいのが「利回り」です。
デカデカと管理画面や報告書に書かれている割には、一番、意味のない数字だと思います。何故なら、会社によって定義と計算式が違い、計算式も教えてくれないからです。
教えてくれないなりに判定すると、「利回り」とは、ある一定期間の運用成績のことで、基本的には「1年間」の利回りです。毎日・毎月出したお金、入ったお金を計算しているため、中身はもっと複雑な計算式のようです。
※実際に私は某会社のコールセンターに電話して聞きましたが、教えてくれませんでした。
まぁ、レポートに「利回り1%」と書かれていた場合は、1年間運用して、100万円が101万円になったということだという理解をしておけば大ハズレはないはずです。
さて、式が分からない。となると、自分の管理画面に「あなたの利回りは2%です」と書かれていても、良いのか悪いのか全く分かりませんよね?
さて、じゃあどうすればいいのか?
利回りを見ない。
(管理画面の)
これです。
じゃあ何を見るか?
評価損益を見ましょう。
特に最終(現時点)の損益を。
どうやって見るのか?
仮にプラスだとしても上手くいっているか分からない。そして、分からないというのは「比較対象がない」からです。
比較対象がないなら、自分で作ってしまえばいいのです。
自分でシミュレーションしよう
簡易にシミュレーションしてみるのが一番だと思います。
例えば、「年間利回り3%」で「毎年20万円(月1.5万円程度)を拠出」した場合、どのくらいになるか計算してみましょう。
本当にざっくりですが、こんな感じになると思います。
毎年、運用が積みあがっていく複利計算になるはずです。
管理画面で見えていえるのは、ごく一部です。例えば5年目の場合、赤枠が見えているはずです。
要するに、この赤枠と比較して、自分がいいのか悪いのかを判断しないといけないはずです。例えば、こんな状況だとします。
- 5年目
- 拠出金額累計は100万円
- 総資産評価額は110万円
- 評価損益は10万円プラス
この状況と、赤枠を比較しましょう。評価損益を見るのです。赤枠だと評価損益が9万円になっています。ということは、実際は10万円なので、シミュレーションよりも上回っている、すなわちイイ感じに運用できている!と判断できます。これは、最終利回りで比較していることになります。
最終損益の目標設定が重要
実は、ポイントとなるのは表の右端の「最終的な目標損益額(最終損益)」です。この場合だといくらでしょうか?
「30年目」のこの数字ですね。30年間コツコツ600万円拠出して、その運用を毎年3%ずつ利益が出るように運用できれば・・・最終的には980万円になるということです。最終損益額はプラス380万円。
※ちなみに25歳で入社して、55歳で定年、と考えて30年設計にしていますが、会社によって違うでしょう。
プラス380万円が大きいと見るか小さいと見るかは人それぞれです。この数値を変更するには「利回り」を変えればいいだけです。「年間利回り5%」にすると変わります。
なんと、最終的に約1,400万円になります。同じ600万円を拠出しているのにも関わらず、です。ウッヒョー!って感じですね。大分違うぞ!?最終損益額はプラス800万円。
これが利回り10%になったら数千万円・・・!!!?恐ろしい違いになりますね。
※画像に「最終利回り」と書いてあるのは、評価損益÷拠出金総額です。一般的に言われている「債権の最終利回り」の計算式とは違いますのでご注意
現実を見て目標金額を決めよう
目標値はどう設定すればいいのでしょうか?
もちろん、人によるとしか言いようがありませんが、とある情報だと、3年以上運用している人の年間利回りの総平均が2~3%位の様です。これはメチャ上手くいっている人も含めての平均なので、アテにならない気がします。
達観、年間利回りが3%以上だったら上手くいってると認識していいのではないでしょうか。一度自分の管理画面を開いてみてみて下さい。元本確保型もからめてざくっと運用していると、1%~2%の人がほとんどではないでしょうか。
しかし、自分の人生のリソースを割いて「攻め」で確定拠出年金を運用するのであれば、年間利回り3%以上を目標金額と定めた方がいいと思います。
といっても、毎年色々な要因で利回りは変動するため、金額で決めましょう。
30年後に最終損益額をプラス800万円にするといった目標の立て方がベストだと思います。
それで計算してみると、年間利回りが何パーセントになればいいのかわかるはずです。
さらに、それをシミュレーションエクセルに入力すると、各年度末の評価損益額が分かるはずです。これを、毎年・毎月見ていくのです。
その年度の目標評価損益額と、管理画面の「評価損益」 を比較すると、一発で「イケてる」のか「イケてない」のか判断できます。
例えば、シミュレーションでは10年目でプラス400万円になっていないと駄目なのに、現状360万円で止まっている。イケてない!!!といった具合です。
エクセルと比較するのです。 そうして、プラスならよしとし、マイナスだと「銘柄を買えないといけないのでは」という意思決定がやりやすくなります。
まとめ
いかがでしたか?
①自分でシミュレーションを作ろう
②利回りより損益額で評価しよう
この2つだけです。
素人はそれだけでいいと思います。(もちろん、運用の目標設計も含めて自己責任で行ってくださいね)
他には、どの銘柄を選べばいいのか?という問題もありますが、それはまた今度。