21世紀中に乗り越えておくべき「顧問」という存在(相談役・社友・顧問)

今日は、会社の本社にいる「謎のオッサン達」に迫ります。

経営企画というお仕事柄、自社以外にも幾つかの企業を見る機会が多いことから、気づいたことをメモしていこうと思いつらつら書いてみた。

本稿の対象者:

  • 会社の若手社員(特に社内オジサンとの付き合いが多くなってきた方)
  • 会社の経営陣

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①「顧問」とは

本稿では現代の「顧問」という存在について言及してみる。「顧問」は雇用形態の1種である。年を取ったサラリーマンは定年やドロップアウトで会社を辞めていくが、業界の有名人であったり、元社長であったり、会社のトップマネジメントの関係者であったりする人間は、定年後に複数の会社を股にかけて期間契約アドバイザーとなっていくことがままあるのだ。

呼称としては「相談役」、「社友」、「顧問」等、色々な表現があるが、自分の手で泥臭い事業をやるわけでもないのにやたらめったら偉そうなオッサンのことを、ここでは「顧問」と言う。

最近では個人で会社を立上げて個人コンサルとなっているオジサンも多いようだ。コンサルティングという形で相当な金額を会社からせしめているケースも少なくない。最近、この手の「顧問」が増えてきている気がする。この背景にはベビーブーマー世代の一斉退職に原因があると思う。
「顧問」は養う力の大きな大企業に寄生している場合が多いが、知り合いの年商100億円程度の中堅企業にはいたので、大企業特有の問題ではなく、時代の問題だと感じている。

②「顧問」の問題点

顧問は害悪な部分がある。結論から言いうと「無駄に影響力がデカ過ぎる」ことが問題点なのだ。
「顧問」とは上記の通り、当然何かしらの実績を引っ提げて会社に採用されている人間であるから、元々が部長クラス以上の人間であり、また、雇用形態として勤続ではなく月に1~2回顔を出す程度の出社率であることが多い。即ち、言葉も巧みに発言権を持っている一方で、今の会社内の事情は余り理解していないというのが「顧問」という存在なのである。
顧問のメイン業務は「若手勉強会」「プロジェクト報告会」「意思決定会議」等といった要所要所の会議にアドバイザーとして出席することであることが多い。これが、次世代の担い手である若手・中堅社員(20歳~40歳程度までを想定)にとっては厄介極まりない。
どんな風に厄介かというと、若手は色々な事前準備をしてから会議に臨んでいる。しかし、「顧問」も、話を単に聞いて「イイネ!」するだけでは来ている意味がないし、発言しないでは来期から契約を切られる可能性もあるため、何かしらの「ツッコミ」を多数ブチ込んでくるのである。
その結果、若手に何が起こるか?・・・「業務が増える」のである。
「顧問」様に発言を頂いたとなれば、発言内容のセンスの良否はどうあれ、まずは調べてから回答を出さざるを得ない。必然的に”再調査”と”次回レポート”等といった業務が若手にのしかかることとなる。最悪、会議の結論が変わったりしてしまうケースも少なくない。

若手を育てる会なのであれば、問題ないが、これがミドルマネジメント以上の会合になってくると、影響度が飛躍的に拡大していく。事業部門の管理活動や、全社方針に対して現実的でない結論を持ってこられると、会社の将来自体が危うくなるということは想像に難くない。

これは非常に問題で、取締役会や経営会議等と言った、監督側、執行側の正規の会議ではない「裏の会議」で結論がつけられてしまう、すなわち会社にとっては「コーポレート・ガバナンスが効かなくなる可能性がある」という恐ろしさがある。

「顧問」は外部の会社とコネクションを持っているケースが多数ある。これも対応として非常に面倒なケースに発展する場合が少なくない。例えば、2社の下請けに価格比較で合見積りを依頼したいのに、「顧問」から紹介された会社を優先せざるを得ない、などという、およそ事業判断とは言い難い政治的パワーを押し付けられることもある。

下手をすると、「顧問」は交際費すら食い物にしようとするケースさえある。若手の教育である、懇親会である、紹介である、などと称して、高級なレストランでの食事会等を希望してくる場合や、別件なのに旅費を申請してくる場合すらある。
若手には関係ないことだが、顧問雇用料はかなりの額になることが多い。月1回の打ち合せなのに年間100万円以上支払うケース等はザラにあると思っていい。過去の経歴によっては、1,000万円以上のハイランカーも存在する。これは大手企業ですら結構な痛手となる。じわじわと予算を蝕んでいくのである。

最近では大手会社などが変なアクションをとるケースも見受けられるが、なぜそこを買収したのか?等という変な疑問があった場合、その意思決定の裏には「顧問」という存在が隠れているのかもしれない・・・

③「顧問」への対処方法

当然、不要な「顧問」には、顧問契約を打ち切って早々に舞台から降りて頂く、というのが本来の在り方ではあるが、トップマネジメントのコネクションである場合、若手が社長に噛みつく訳には到底いかない。自分たちの意思での打ち切りはできないのである。

では何をすればよいか?「利用する」のである。

「顧問」の特性として、①知識が豊富、②声がデカい、③コネクションがあるということを上記したが、(今は動きが悪く見えても)本来はスーパーなビジネスマンであるということである。これを若手が利用しない手はない。
テクニックとしては、会議以外の場やメール等でソフトコンタクトを試みるということが挙げられる。「顧問」と個人的に仲良くなるのである。

若手から頼られれば、「顧問」も悪い気はしない。それどころか、教育係を自ら申し出てくれるだろう。仲良くなればしめたもので、「顧問」の発言は自然と若手サポートに向かう。部長がセンスの無い業務を押し付けている場合、「若手の言に一理ある」とでも言ってもらえれば、無用な雑用をしなくて済む。その知識で盾になってもらおう。
自社の経営陣に自分を売り込む手段としても非常に有効である。「顧問」に『彼は素晴らしい社員であるから、早期に昇進させたまえ』等と役員に直接言ってもらう機会すらある。その声のデカさで剣になってもらおう。

一番おススメしたいのは、「コネクションを引き継ぐ」ことである。業界の大小の優良企業に顔が利く、というのは非常に強い。例えば、普通にコミュニケーションしても取引開始してくれない部品メーカー等に、「顧問の口利きで」アプローチすると、たちまち口座が開く、などということもよくある話である。そのコネクションを引き継いでレベルアップしてしまおう。

④結論

要約すると、経営層と密接に結びついて良不良の影響を与えるのがこの「顧問」という存在である。一方で、若手が頑張ってもできないことを、「顧問」は軽々とやってのけるのというジョーカー・カードでもある。

『今日もオジサンの相手かぁ、嫌だなぁ、また会議でおかしい方向に議論を持っていかれる』と悩んで終わるのではなく、『自分は次にあの会社を開拓したい、顧問に口利きしてもらってでも絶対営業成功させてみせる』と、前向きに成長の糧とする方が健全だろう。

会社人生、楽しんでしまおう!

ではでは!