就活や昇進試験のトレーニングとして使える「ロジカルシンキング本」を紹介するよ(例題・練習問題)

できれば20代の内に目を通しておいてほしい本を紹介します。

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「ロジカルな人」が出世する

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就活や昇進試験を目の前にすると、人事部が良く「ロジカル(論理的)に考えられるかどうか」を判断基準にしたがります。でも、論理的かどうかなんて、なかなか分かりませんよね?ましてや鍛える方法なんて思いつきません。

また、多くの日本人が薄ボンヤリと、こう思っています。「私の論理力は普通レベルだろう」・・・しかし、この考え方は極めて危険です。

大企業の本社として何人もの若手と話してきましたが、個人的な感覚だと、大企業だろうが、20代の95%はロジカルシンキング(論理的思考力)を持っていません。訓練してないから当たり前です。東京大学京都大学・慶応大学・早稲田大学など、トップエリートの大学を卒業した社員ですら、ほとんどが「無い」のです。

すなわち、年齢にかかわらず、今まで思考トレーニングを受けていない場合、あなたの論理的思考能力は低レベルなのです。

また、もう一つ重大な事実があります。

35歳までに出世はほぼ決まる。

30代になると、「アイツはできる奴」「アノコはまぁまぁ」「コイツは終わってる」等と言う勝手なフラグが人事や経営者から付与されはじめます。正直、入社直後からそういう目線では見られ続けています。

当然ながら、その評価軸の一つにロジカルシンキング(論理的思考力)が入るわけです。経営層や人事部自身がロジカルでないのに、後進に対しては「ロジカルであれ」と言ってるわけです。はた迷惑ですね(笑)

「コミュニケーション能力」と並ぶくらい「ロジカルシンキング(論理的思考力)」は重要視されます。

加えて、怖いのが、同じくらいアバウトな項目だということです。なんとなーく、で評価されるわけです。「アイツはロジカルじゃないな」「なんかちょっとはイケてるかも」「彼は相当なロジカルモンスターだ」等という雰囲気で評価されるわけです。フンイキ。

たまに「俺は論理的ではないから、作業のプロフェッショナルになろう」と諦めモードになる人もいますが、やめておきましょう。確実に出世コースから外れます。嘘でも論理的であれと胸を張っていてください。補足すると、プロフェッショナルとして大成するとしてもロジカルシンキングは必須です。

いやいや、ロジカルシンキング(論理的思考力)なんて鍛えられるのか?他の人にも分かるくらい力量をつけることができるのか?

結論、鍛えられます。

そのための書籍を今回紹介します。

ロジカルシンキングって何だ

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そもそも、ロジカルシンキング(論理的な思考)って何でしょうか?

ロジカルシンキングとは「筋道を立てて考えること」です。

(実践ロジカルシンキングより)

筋道を立てて考えること。簡単に見えますね。「当たり前じゃん!いつも意識してやってるよ!」という方もいるかもしれません。しかし、こう言い換えるとどうでしょうか。

構造化して考える。

お、一気に難しく聞こえましたね。この、構造化するということを深掘り、実際の人との議論で使えるようにしているのがロジカルシンキングという「技術」です。

ロジカルシンキングを鍛える方法

ロジカルシンキングを強化するためには、3つの方法があります。

  1. 本を使ってインプットする
  2. 雑談を通じて練習する
  3. 実際の打ち合わせで議論を投げかける

スポーツや語学と一緒ですね。まずは理論を学び、練習して、本番に臨む。これの繰り返しです。3つとも重要ですが、一番、簡単にできるのが本を読んでインプットすることでしょう。論理とは何か、どういった考え方をすると話が整理できるのか。まずは自分の頭の中で整理することです。

特にロジカルシンキングについては、ほとんどの人が理論書すら読んでいないため、本を読むだけでも他の人を出し抜くことが可能です。オイシイ分野なのです。

おすすめロジカルシンキング

①実戦ロジカルシンキング

実戦ロジカルシンキング―ビジネスで成果を上げる本当に使える思考法

実戦ロジカルシンキング―ビジネスで成果を上げる本当に使える思考法

私が初心者に対してまずオススメするのがこの「実戦ロジカルシンキング」です。分かりやすい表現でロジカルシンキングとは何か、を説明しています。そして、適度に例題が入っていて、飽きさせない工夫があります。一番のオススメとして本書を推薦します。

基本的な論理展開手法である演繹法帰納法の説明から始まり、因果関係についても詳細な説明があった後、論理を構造化していくフレームワークを説明していくというのが前半パートになっています。

後半パートは、推論問題解決の手法を提示した後、最後に分かりやすくコミュニケーションする方法が描かれています。ヌケモレがありません。

正直、新入社員から30歳前半までは、この1冊を何回も読みこませれば、最低限のロジカルシンキングに関するリテラシーがつくと思います。そういう意味で管理職の皆さまにもオススメです。「これ、ちょっと読んどけよ」と渡すだけでOKです。

ページも「説明」「例題」「図」の3つから構成されています。見開きですぐ分かる構成になっています。よくあるロジカルシンキング本は文章しか書いてないことがままあるのですが、しっかりと図が描かれています。また、例題も差し込んであるため「ふーん」で終わることがないのが特徴です。

②論理トレーニング101題

論理トレーニング101題

論理トレーニング101題

次にオススメするのは「論理トレーニング101題」です。

ロジカルシンキングと呼ばれている分野には圧倒的に例題が足りません。それを初めて補ったのが本書だと思われます。

単純な例題ではなく、非常によく練られた例題で分かりやすいです。悪書だと、例題への回答が「え、でも違う考え方もあるんじゃ?」と不安になる書籍も多々ありますが、本書は、「なるほど!」と思わせる切れ味の良い回答がウリです。

大きく5章に分かれています。

  1. 接続表現
  2. 議論の骨格
  3. 論証とは
  4. 演繹・推測の適切さ
  5. 論証を批判的にとらえる

極めて実践的です。特に第一章の接続表現は、他に代替できる書籍が見当たりません。日本人は義務教育で「接続詞」を習ってきたはずなのに、これを読むと、いかに自分が接続詞を大切に扱ってこなかったか、ボンヤリと日本語を聞いている・読んでいるかということを痛感するはずです。

そして、本書のコアともいうべきなのは、第二章の「解説・根拠・付加・転換」です。ここが非常に面白い。議論における発言は大きく4つに分かれていて、解説しているのか、根拠を出しているのか、方向性を転換させたいのか・・・この4つが分かると、意味のない発言と、意味のある発言の違いがわかってきます。

部長の今の発言は、課長の発言に上乗せしただけの「付加」だから意味ねー。意外と係長の発言の方が、しっかりと議論を「転換」できてて議論を持っていけてるよな・・・係長の方が課題認識できてるってことか。

こんな感じで、議論の”ウラスジ”が読めるようになってきます。

実戦ロジカルシンキングで基本を理解した後に、論理トレーニング101題で地盤を固めるという使い方をオススメします。実際に昇進試験等にもこういったトレーニング本からの出題は多くなってきています。

③考える技術・書く技術

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

バーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」です。

ロジカルシンキングに関する超有名本です。外資系コンサルだと、一番最初に読んでおけと言われるはずです。コンサルがこの本を知らなかったらモグリかそうとうダメリーマンだと思います。

マッキンゼーのバーバラさんという女性が、1970年台に構築した「ピラミッド・プリンシプル(ピラミッド原則)」というロジカルシンキングの基礎理論を、日本語訳したのが本書です。

論理には縦方向(トップダウンボトムアップ)と横方向の論理が存在する、論理を理会するためにはピラミッド型に図示展開していけばよい。という考えです。

そのピラミッド構造を作るための「書く技術」というパートと、他の人の論理をピラミッド構造に捉えなおして批判的に理解する「考える技術」のパートに分かれています。また、最近の版では問題解決や表現法に関するパートも追加されています。

当然、極めて重要なことが書いてありますが、なぜ3番目かというと、読みにくいからです。

英語をそのまま日本語訳していて、しかもかなり昔の初期理論なので、学生や新入社員が読むには、ちょっとワンクッション置いた方がいいだろうと思われます。管理職の方が「お前はロジカルさが足りないから、読んどけ」と渡すと、知的戦闘力の足りない社員だと全部読めないまま終わることになります。

ともあれ、実戦ロジカルシンキングと論理トレーニング101題を読みこなした人だと、すいすいと理解できるはずです。マッキンゼーの強烈な切れ味を持った基礎理論に触れておくことで、あなたのロジカルさが増すことうけあいです。

「考える管理職」を目指せ

最近「使えない上司が増えた」等とよく言われます。

正確には使えない管理職ではなく「考えない管理職が増えた」なのだと思います。現在の管理職は40代~50代がメインで、使えない人というのは幾つかの特徴を持っています。

  • 社内のコネだけを武器にしている
  • 職位を傘にして偉ぶっている
  • 「火消屋」に成り下がってる

こういうオッサン、あなたの会社にはいませんか?

コネクションだけを武器にするとこうなります。

例1)人事部長の鈴木さんはコネクションだけを武器にしています。製造部門出身であるがゆえに、製造部門に対してだけは口利きができて力強く物言いができます。しかし、販売部門に対しては、人を知らないし後輩もいないから強気に出られず、要員計画をマトモに組めません。事実上放置しているため、販売部門の予算が膨れ上がっています。

職位を傘に偉ぶっている人も多いはずです。

例2)本田さんは営業課長です。しかし、部下の主任や係長から稟議を受けても、何も読まずに決裁してしまいます。それでトラブルが怒っても、「実行したお前が悪い」「ちゃんと説明しなかった奴が悪い」と、部下の責任にして、自分の管理責任については逃げることが良くあります。

火消屋に成り下がるとは、こんな感じです。

例3)プロジェクトマネージャーの山田さんは、相手から「嫌だ、Aにしてくれ」と言われると、Aに変更してしまう性質があります。しかも、別の相手から「嫌だ、Bにしてくれ」と言われると、Bにしてしまいます。そして、AかBか落としどころを見つけられないまま、期日を迎えて「炎上」してしまうことが頻発しています。

自分一人だけの仕事をパーフェクトにこなすことも重要です。しかし、出世していくと、人を相手に落としどころを考えること、説得することが仕事になってきます。なので、考えられないという人間は仕事をこなしていくことができなくなっていきます。コミュニケーション能力が重要と言われている本質がここにあります。

また、モノ相手に考えるだけでもダメです。よくR&D部門などで「モノについてはよく思考ができて優秀」だけれども、「ヒトに対しては考えることが苦手」という人がいます。そりゃそうです。実験機械は文句を言いませんが、人は文句をいいます。

ロジカルシンキングを身に付けると、こういった使えない管理職になることを防げます。

できる管理職になりましょう。

最後に

本を読んで、人と雑談して、最後に、実際の日常で臆さず発言して下さい。それこそが論理的思考力を鍛える一番の方法です。

最初はバカにされます。ロジカルじゃない指摘や提案をしてしまうことも多いでしょう。でも、それでもいいのです。最初はそんなものです。

頑張って1年以上続けていると、次第に切れ味の良い指摘や提案ができるようになってくるはずです。そうすればシメたもので、その議論、ひいてはチームを自分のものにしてしまいましょう。管理職も間近です。

頑張って下さい!

実戦ロジカルシンキング―ビジネスで成果を上げる本当に使える思考法

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論理トレーニング101題

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考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

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