大企業病の原因を「大企業の中の人」が教えます【極秘】

大企業からの転職が流行っています。

大企業病を嫌がっている若手たち

大企業はオワコン。

そんな言葉が流行っています。

大企業は意思決定が遅い、承認プロセスが何重にもある、オジサンを説得するだけで息切れする、新しいツールや習慣になじまない人が多い、学歴・出身大学重視で昇進させる、ビジネスはだんだん悪い方に向かっているのに良い方向に面舵を切れない・・・沢山の不満が大企業に対して向けられています。

一方で、大企業を脱してベンチャー等に転職した人からは「充実感が半端ない」「大企業はクソ」等と言う話が沢山舞い込んでいます。

本当でしょうか?

今回は、大企業勤務の私(大佐)が、「中の人」として大企業病の本質を分かりやすく説明します。

大企業病の本質は「高い給与」

結論からお話しすると、大企業病の本質は「高い給与」にあります。

正確に言うと、ポストに紐づいた変動少ない高年収です。

実は本当に「それだけ」です。

  • 組織設計が未熟だから?
  • ビジネスモデルが古いから?
  • 高齢社員が多いから?
  • マニュアルがありすぎるから?
  • 人数が多いから?
  • 拠点がありすぎるから?
  • グループ会社管理ができてないから?
  • 本社機能が肥大化しているから?
  • 政府の御用聞きになってるから?
  • 社員のスキルが低いから?
  • コンプライアンス守れてないから?
  • サービス残業が多いから?
  • 一人一人に裁量権がないから?

そんなの、ぜんっぜん関係ありません。

上記全ての話は「給与」に落とし込まれます。その原因を3つ教えます。

原因①:社員の年収が高い

大企業の年収はかなり高いです。20代で600万円、30代で1,000万円位、40代で1,200万円位。50代で1,500万円位です。しかも、この給与は差がプラスマイナス200万円程度しかありません。(社長や副社長はまた別の給与体系ですが)

しかも、この年収は毎年ほとんど変動がありません。ボーナス評価だなんだと言っても、けっこう八百長的なところがあり、ある程度、経理部と人事部と営業部が「今年はこの売上は固いな」と思うトップラインに「A評価」を設定していて、よほど業界構造変化がない限り、ボーナス半分なんてことはあり得ない設計になっています。

これは驚くべきことです。要するに、役員になれないのであれば、頑張っても頑張らなくても給与がほとんど変わらないのです。

さて、あなたがもし人事から「君は役員になれません、でもある程度高い年収は保証するよ!毎年そんなに変動ないよ!」・・・こう言われたら、どうしますか?

頑張りませんよね?

副業でブログでもやって稼いだ方がマシです。

その人にとって、頑張っても上に上がれない、そうであれば一番のリスクは何かというと「変わること」になります。組織構造が変わること、年齢構成が変わること、評価体系が変わること、それらはすべて今の課長や部長が転落してしまうデメリットになるのです。

だからこそ、カタい判断を求めます。

東大の人から課長に昇進させる、自分と同じ部出身の人を昇進させる、新しいITツールはつかわない、業績がやや悪化しようが問題ない・・・そういう「行動様式」に、必然的に向かっていきます。

原因②:役員の年収が高い

役員の年収もバカ高いです。

もちろん、海外の役員に比べればはした金かもしれませんが、2倍以上になります。

執行役員の年収は平均3,000万円程度。2,000万~5,000万円がベースです。

取締役以上の役員になると、年収は約1億円です。8,000万~1億5000万円といったところです。

そりゃ、若いときは必死こいて出世レース頑張りますよね?

大企業の出世レースは厳しいです。出身大学、頭の良さ、育ちの良さ、コミュ力、ルックス、政治力、蹴落とす厳しさ、全てが揃ってないと一握りの人間にはなれません。それだけ価値があります。

ただ、ここからが本当の「原因」です。

報酬に変動がないこと、これが全ての要因です。

社員と同じなのですが、社員であればおよそ「アイツは課長だから1,000万円かな」と分かるのですが、役員っていくらもらっているか分かりません。

取締役であれば、株主総会で大枠の金額を決めて、それを報酬委員会で分配する・・・そういった法に基づいた手順が社内で決められています。(会社にもよります)それでも分かりにくいですよね?いくらもらってるなんて社内でも開示しません。

そして、執行役員の場合さらによくわかりません。人事と執行役員の間でひっそりと決められ、報酬が支払われます。

本来、役員は社員よりも厳しい傾斜をかけて「会社の利益で報酬額が変動する」ようになっているはずです。

・・・そういうはずです。

なのですが、あまり変動が大きくありません。前述の通り、社員と役員が結託して「ほぼ毎年A評価」に持っていけるように仕向けられています。

さて、あなたは役員です、今54歳、任期は後4年はある、そうすると何を考えますか?

そう。

アクションを起こさない方が、生涯年収が高くなるのです。

「社内変革プロジェクト」「新規ITツール導入」「組織再編」「ガバナンス体系の見直し」・・・色々なプロジェクトが走っているかもしれませんが、役員はこれらを嫌います。

「評価基準の見直し」なんていう提案があったら、速攻でブッタ切ります。切り方も手慣れたものです。

「いやぁ、こういうのはどうかと思うよ、キミィ、ついこないだも他社の報酬制度事案があったばかりじゃないか、そのときにガバナンスコードを見直しただろ?営業が大変なこの時期、再度、社長にまで議論をふっかけるのは得策じゃないと思うがねぇ・・・」そういった感じでのらりくらりとかわします。メチャ上手いです。流石。

こうなると、新しい風を取り入れようとしても入れられません。

でも、考えてみて下さい。

あなたが同じ立場に立った時、自分がもらえることが確定している収入2億円以上(5,000万円×4年)を捨てて、「会社のために改革を行うぞ!!」と言えますか?

言えませんよね?・・・それが結論です。

原因③:社長がリストラできない

役員・社員の意識を変えるには、社長が動くしかありません。

リストラを突きつけるのです。

首を切る、年収を落とす、ということです。

これができるかどうかで会社は変わると思います。逆に言うと、社長がリストラ断行できない限り、大企業は大企業のまま「ゆるやかに死にゆく」ことになります。図体がでかいので20年位かかりますが。

リストラには2つあります。

役員の首切りと、社員の首切りです。

ポカをした取締役・執行役員を速攻で「降格・減俸」させること、これが1手です。これをやると役員は縮み上がり、馬車馬のように頑張るようになります。その先に待っているのは「次の株主総会でのクビ」だからです。

即座にやらないと効果ありません。「〇〇君は頑張ってるから、1年後に減俸かなぁ」とか言ってると、みんな忘れます。その場で断行することが重要です。ただ、これはかなりの胆力が必要です。

オーナー社長だとそういったことをしやすい性質があるのですが、サラリーマン社長だと恨まれたくないという意識が働いてしまい、なかなかリストラできません。

もう一つが、社員のリストラです。これは慎重にやらないとデメリットも大きい策です。社員のリストラの目的は「年齢構成の適正化」です。社員がだらだら残っていると、どんどん課長職が溜まっていて、部下の数より上司の数の方が多い・・・とかいうバカな部署も出てきてしまいます。そういった事態を防ぐとともに、若手に課長になるチャンスを多くくれてやるという意味でもリストラは効果的です。一時的に売り上げが下がってしまうリスクがありますが、会社の「延命効果」としては絶大です。

一方で、社長や役員が「根性論」に走っている会社は嘘っぱちです。

何が嘘かというと、「社員みんなが経営者思考を」とか言って、自分がしっかり貰っているのに仕事していないことを隠すための処理をしているだけです。

マーケティング施策やコストダウン方針を出すのは役員の仕事です。それを社員に求めている会社は大体クソです。

「社員が今期中にマーケティング施策を発表できなければ、私の給与を半分にしていい」そういっている役員がいるのなら、そいつは本物です。ついて行ってもいいと思います。ただ、その人は政治能力が低い可能性もありますが・・・

大企業は悪いのか?

さて、大企業病の悪口をさんざん書いてきましたが、大企業病だからって悪いのでしょうか?

結論、悪くないと思います。

努力せずとも、高年収が保証されるわけです。これ以上にお得なことはありません。自分でもう一歩工夫する努力をしたり、副業をしたりすれば、ほんの少しですが年収アップする可能性も残されています。

ライフワークバランスを目指す人にとっては、大企業は最高の職場であることは間違いありません。

もちろん、

  • IPOを経験して株で億単位に儲けたい人
  • 社会の役に立つ仕事をしたい人
  • 自分にストレッチをかけて成長を実感したい人

そういう人にとっては、物足りないと思います。

大企業で、使えないオジサン上司の「介護」をする毎日では辛いかもしれません。

口では「俺は成長したい」といいつつ、本音は安定を求めている・・・そういう人も沢山いるので、あなたはどういう人間かを改めて問い直した方が良いと思います。

人間、ほとんどが安定志向です。

さて、もっと年収を・・・と言っている人は、理想を「大手外資系」あたりに絞って就職活動してみてはいかがでしょうか?

一度、転職活動をしてみると、いかに大企業のスキルが「使えないか」が分かると思います。

いや・・・転職サイトに登録するのは勇気がいる、電話かけられても困る。

そういう人には「ミイダス」をオススメします。

登録するだけで、かなりの精度で年収前提が分かります。

「自分のスキルならこの程度か」と理解できるのは強みです。

低ければスキル上げればいいし、高ければ転職です。

自分からガンガンオファーしていきたければ、エージェントを使いましょう。

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自分は役員になれるのか?

自分はまだ20代、社長を目指したい!!という人は、過去記事も参照してみて下さい。

役員になれるかどうか判定できます。

どの大学出身なら出世できる?大企業の出世・昇進の「学歴フィルター」教えます

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